ローラチェーンは、使用するにつれて仲びが発生します。このチェーン伸びは伝動効率を大きく左右しますので、定期的にチェーン長さをチェックすることが大切です。
チェーン伸びの種類
ローラチェーンの伸びは「初期伸び」と「摩耗伸び」の2つに区分されます。
初期伸び
初期伸びは、チェーンを使用始めた初期の段階で発生します。この伸びは、チェーンのブシュ、ピンなどの各部品がなじんだときに発生するもので、これは一定時間が経過すると無くなります。初期伸びは、アイドラやタイトナを締めこむかテンションを締めこんで調整します。
摩耗伸び
チェーンを運転により発生する摩耗伸びは、ピン、ブシュなどの摺動部分が摩耗して遊びが大きくなってチェーンの長さが長くなることをいいます。したがって、定期的にチェーンの状況をチェックして寿命を検討します。(チェーンの伸びは、プレートの形状が変形して起こるのではありません)
チェーン伸びの問題点
ローラチェーンの伸びが大きくなると次のような現象が発生します。チェーン伸びは、伝動部だけてなく機械全体にも悪影響をおよばしますので注意してください
- チェーンのローラがスプロケットの歯先に乗り上げてチェーンが外れる
- チェーンがスプロケットに巻き付く
- 弛み側ではチェーンの振動が大きくなり、ケースにあたったり回転ムラが起きる
- チェーンが回転中に異常騒音、異常振動をおこす
チェーン伸びの限界
チェーンの伸びが大きくなると円滑な伝動がてきません。チェーンの伸びを測定してよりよい伝動状況を保ってください。チェーン伸びの使用限界は次の通りです。この使用限界を越えたときは速やかに新しいチェーンに取り替えてください。
チェーン申びの使用限界
スプロケット歯数 | チェーン伸び |
---|---|
40枚以下 | 2.0% |
〜60枚以下 | 1.5% |
〜80枚以下 | 1.2% |
〜100枚以下 | 1.0% |
101枚以上 | 0.8% |
チェーン伸びの測定
ローラチェーンの伸びの測定は、次の方法で行います。
- チェーン全体の遊びを取り除くためチェーンにある程度の引張り張力をかけた状態で測定します。( JIS規定では、測定のための張カを定めています)
- 測定にあたっては、測定誤差をてきるだけ少なくするため6〜10リンク程度で測定します。
- 図のように測定するリンク数のローラ間の内側L1と外側L2寸法を測定して判定寸法Lを求めます。
- 次にチェーンの伸びを求めます。この値を前項のチェーン伸びの使用限界値に対比します。
運転にあたっての点検
伝動部を組み上げて試運転に入る前や保守点検、チェーン長さの調整のあとで運転に入る前に次のことを確認のうえ起動してください。
- 継手・リンク部分が完全に確実に結合されているか。クリップ、割りピンが正しく確実に入っているか。
- チェーンの弛みは正常か
- スプロケットの歯にチェーンが確実に噛み合っているか。
- 周辺に干渉したり飛散したりするものが置いていないか。
- 安全力バーを取り付けたか。また、カバーがチェーンに十渉していないか。
- 給油を行っているか。
伝動部を起動したい、チェーンの振動でチェーンケースにあたったり、常騒騒音や異常振動などが発生した場合は、連やかに連転を止めて発生の原因を除去してください。
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