チェーンへの給油(潤滑)は、チェーンの寿命を延ばすために必要です。 適切な給油(潤滑)を行うことにより、軸受部分であるピン・ブシュ間、 プレート相互間、ローラがレールなどの上を滑るときやスプロケットと噛み合う際に摩擦するローラとブシュ間に油膜を作り、金属同士の接触を防ぎ、摩耗を抑制します。
給油方法は、滴下・刷毛塗りなどの方法が一般的で、コンベヤの運転時間、チェーン速度、雰囲気により給油回数を調整します。
潤滑油は、雰囲気温度やチェーン速度により使い分けます。一般の雰囲気中ではSAE30~40程度が適当です。 下表は各温度における潤滑油の選定の指標です。
周囲の雰囲気温度 | 粘度 | |
---|---|---|
摂氏℃ | 華氏 °F | |
-6.7 ~ 4.4 | 20 ~ 40 | SAE20 |
4.4 ~ 38 | 40 ~ 100 | SAE30 |
38 ~ 49 | 100 ~ 120 | SAE40 |
49 ~ 60 | 120 ~ 140 | SAE50 |
約150℃を越える高温の雰囲気中で使用する潤滑油は、石油系の潤滑油では酸化され性能が劣化するため、カーボンテトラクロライド(四塩化炭素)、または石油成分を除いたコロライド状のグラハイドを揮発性液体に混ぜた潤滑油や二硫化モリブデンによる摩擦面の被膜処理が効果的です。
摩耗雰囲気中で使用する場合の潤滑油は、ペトロラタムのようなゼリー状の鉱油や非流動体油(グリースまたはグリースに二硫化モリブデン、グラハイトを添加したもの)が適当です。 これをピンとブシュの間に完全に浸透させることで、摩耗を促進する土砂塵などの侵入を防止します。 また、常時の給油が不可能の運転条件のときでも、一回の給油の寿命が長いため、ある程度は無給油運転ができます。