スプロケットの加工(種類、方法)

加工の種類

熱処理加工

チェーン伝動に使われるスプロケットのうち、特に回転数の多い小スプロケットには、歯面の耐摩耗性および衝撃性が要求されるため、歯先部分に表面硬化処理を施さなければなりません。スプロケットの表面硬化処理法には、高周波焼入れ法・火炎焼入れ法・浸炭焼入れ法の3つの方法があります。スプロケットでは、一般に高周波焼入れ法が多く使われています。

表面硬化が必要な場合

次の条件で使用する場合、スプロケットの歯先部に表面硬化処理をします。

運転条件 備考
低速重荷重のとき チェーンを強度安全率で選定した場合
高速伝動のとき 許容最高回転数の1/8以上で歯数24T以下で使用する場合
変速比の高いとき 変速比4:1以上の場合で使用する小スプロケット
摩耗雰囲気で使用のとき 表面硬化処理が必要

高周波焼入れ

高周波焼入れとは、高周波誘導加熱を利用して歯の表層部を一挙に加熱したあと、急冷することで表面に硬化層を作る方法です。

このとき、表面層は、微細で均一なマルテンサイト組織となり、噛み合い面の耐摩耗性が増加します。また、この焼入れは、表面硬化層に大きな圧縮応力を残留させ疲労強度を増加させる特長があります。

高周波焼入れに最適な材質

炭素含有量 0.35程度(例:機械構造用炭素鋼S35C・S45C)
歯表面硬度 HRc40

歯先に熱処理加工を施したスプロケット

軸穴加工・キー溝加工

標準スプロケットの軸穴は、すべて下穴で用意しております。 標準スプロケット寸法表では、各々のスプロケットにおいて軸穴加工が可能な許容寸法(軸径の最小・最大)を表示しておりますので、使用伝動トルクに見合う軸穴加工をしてください。 軸穴加工をする際には、歯底を基準としてください。


軸穴加工を施したスプロケット

軸穴加工付きスプロケット

標準スプロケットの軸穴は、すべて下穴で用意しております。 標準スプロケット寸法表では、各々のスプロケットにおいて軸穴加工が可能な許容寸法(軸径の最小・最大)を表示しておりますので、使用伝動トルクに見合う軸穴加工をしてください。 軸穴加工をする際には、歯底を基準としてください。

加工精度は、軸穴公差がH7(下表参照)、キー溝寸法は新JIS寸法(JIS B 1301-1976 下表参照)です。

標準スプロケットへの追加工

軸穴寸法、キー寸法、 タップ寸法をご指示により標準スプロケットに追加工します。 特にご指示がない限り、軸穴公差はH7(下表参照)、キー溝寸法はJIS寸法(JIS B 1301-1959 下表参照)で加工します。

特別仕様の製作スプロケット

標準スプロケットが使用できない場合、特別仕様のスプロケットとなります。 当社では、廉価で短期間で特別仕様のスプロケットを製作しています。 ボス径、 ボス長さ、 軸穴寸法などをお知らせください。